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【金澤寿和のPREMIUM ONE】4月24日〜4月30日 番組後記 ロックの殿堂 2017 に思ふ!! 

◉ ロックの殿堂 2017 に思ふ



 去る4月7日にニューヨークのバークレイズ・センターにて開催された

《ロックの殿堂(The Rock And Roll Hall Of Fame)》入りの記念式典。

このイベントは殿堂入りが決まったアーティストを巡って、

毎年のように悲喜交々の論争が湧き上がる。

ソロ・アーティストならあまり問題は起きないが、

長いキャリアを持つベテラン・バンドの場合、

いわゆる全盛期メンバーが殿堂入りの対象となり、

それ以外の新旧ラインナップは蚊帳の外に置かれてしまうからだ。

それは、式典でのパフォーマンスに関しても同様。

対立の果てにグループを離れたメンバーたちが、

果たして同じステージに立つのか? 

黄金期のメンバーが揃うのか? 

そうした現行/元メンバーや関係者たちの思惑、

ファンの期待と興味が綯い交ぜになって、

いつも話題騒然となるのだ。

近年ではキッス(2014年)、チープ・トリック、シカゴ(共に2016年)などが、

式典のパフォーマンスを巡ってひと悶着を起こした。



 ところが今年は少し様相が違った。

殿堂入りしたのは、イエス、ジャーニー、

ELO(エレクトリック・ライト・オーケストラ)、

ジョーン・バエズ、パール・ジャム、2パック。

このうちイエスとジャーニーあたりは、

例年だと何かあっても不思議ではなかった。

でも今年のこの2組、悪しき先例を忌み嫌ったのか、

それを逆手に取って美談にでっち上げてしまった。



 まずジャーニー。

彼らの場合は、全盛期のシンガー:スティーヴ・ペリーと、

そのソックリさんである

現在のシンガー:アーネル・ピネダの動向に視線が注がれていた。

式典当日、バックステージでは歴代シンガーがご対面。

他のメンバーと登壇したペリーはコメントを述べ、

後継のピネダに謝辞を送った。

ただし彼がパフォーマンスで歌うことはなく、

そこではピネダが活躍したのである。

これはピネダが先代ペリーに尊敬の念を抱いていたからこそ。

楽屋での彼らの感動的対面の様子は、

ネットで世界中に発信され、多くの音楽ファンを笑顔にさせた。



 一方のイエス。

こちらは新旧メンバーが集合離散を繰り返す、

極めて複雑なバンド・プロフィールを持ち、

現在も黄金期メンバーが2組に分かれてイエスの代表曲を演奏し続けている。

意地悪な音楽ファンは、

「さてどうなるか?」と手ぐすね引いて待っていたはずだ。



 ところがこちらも、

分裂中の2組の主要メンバーが合体。

本家イエスで唯一のオリジナル・メンバーで、

2015年に亡くなったクリス・スクワイアーの代役は、

長年のイエス・ファンと公言するゲディ・リー(ラッシュ)が務めるウルトラCを披露した。

きっとメンバーたちの間には、

クリスの遺志を尊重して、という共通した思いがあったに違いない。



 更にイエスには後日談のイイ話が続いた

“アンダーソン・ラビン・ウェイクマン”と名乗っていた別働隊が、

このイベントからわずか3日後、

“イエス feat.アンダーソン・ラビン・ウェイクマン”と改名したのだ。

つまり、この時点で2つのイエスが誕生し、

ほぼ同等にイエスを名乗ることになった。

普通なら名称使用権を巡って裁判で争うところだから、

これはかなり異例なことである。

そこにもやはり、クリスの遺志と殿堂入りの栄誉があったことが窺える。



 本来はメデタイはずの殿堂入り式典なのだから、

今年の動きが来年以降も反映さえていくことを望みたいものよ。





                                                                   (金澤 寿和)











【 4月24日〜4月30日まで放送分のPLAY LIST 】







M1 : あの頃のまま / Bread & Butter                        【選曲 : 竹内】 

1979年にリリースされたブレッド&バター5枚目のオリジナル・スタジオアルバム、

LP『Late Late Summer』のA面1曲目をレーザーターンテーブルで再生した

【LVm レーザー・ヴァイナル・マスターサウンド】。

茅ヶ崎出身の岩沢幸矢と二弓による兄弟デュオは、1969年「傷だらけの軽井沢」でデビューし

スティーヴィー・ワンダーとの共演をするなど順調に4枚のアルバムを発表するが活動に行き詰まり

1975年には休業宣言、アーティスト活動をやめてしまう。この休業中に茅ヶ崎の家のガレージに

「カフェ・ブレッド&バター」をオープンさせる。約3年半に及ぶライブカフェ生活の後、

アーティスト活動を復活し1979年にアルファレコードから再デビューするのは本作品から。

プロデューサー有賀恒夫とリズム・アレンジャー細野晴臣を中心に、ティンパンアレー系の

ミュージシャンで作り上げたサウンドはまさに湘南サウンド。

本曲は休業中の「カフェ・ブレッド&バター」に出入りしていた荒井由実が、

当時そこで見聞した心象風景を歌に描いたモラトリアム世代の名曲。



 







M2 : Hideaway / David Sanborn                               【選曲 : 金澤】

人気サックス奏者デヴィッド・サンボーンが80年に放った5作目のリーダー作にして、

一大出世作となった『HIDEAWAY(ハイダウェイ)』のタイトル曲。

バックを固めるのは、スティーヴ・ガッド(ds)、ハイラム・ブロック(g)、

ドン・グロルニック(kyd)、ラルフ・マクドナルド(perc)といった名手たち。

プロデュースはココからしばらく蜜月状態となるマイケル・コリーナ&レイ・バーダニ。

この曲には参加していないが、盟友マーカス・ミラーとの出逢いの場となったことも忘れがたい。











M3 :  (So Long) Since I Felt This Way / Robert John                        【選曲 : 竹内】

1980年にリリースされたロバート・ジョンのアルバム、LP『Back On The Street』のA面1曲目を

レーザーターンテーブルで再生した【LVm レーザー・ヴァイナル・マスターサウンド】。

「ライオンは寝ている」や「サッド・アイズ」などのヒットで知られるロバート・ジョンは

ファルセット・ヴォイスが魅力の白人シンガー。ヒット曲が途絶えると郵便局や建設現場の副業も経験、

結果アーティストの人間力を身に養い、1980年には大人の恋の名盤アルバムとして本作品を

世に送り出した。本曲はその名盤の幕開けにふさわしい、夜明けの海辺に漂う潮の香りが甦るような

サウンドスケッチ、ジャケットの風景に見事にマッチしたカバー(ジャケット)ソングだ。



 









M4 : Being With You / Smokey Robinson                                            【選曲 : 金澤】

“ヴァイオリンのような歌声”と称された偉大なソウル・シンガー、スモーキー・ロビンソン。

50年代から在籍したミラクルズでの活躍が有名だが、グループ脱退の翌73年からスタートした

ソロ活動でも多くのヒットを放っている。その代表的アルバムが、81年発表の『BEING WITH YOU』。

そしてこのタイトル曲は、R&Bチャート首位、全米ポップ・チャートも2位の大ヒットを記録した。

当時のスモーキーはモータウン・レコードの副社長にも就いており、まさに順風満帆だったことが分かる。

これほど個性的で美しいファルセット・ヴォイスは、今もって唯一無二。













◉レコメンド・コーナー『REVIVE ONE』!

1枚のアナログレコードにスポットを当てて、レコメンダーの愛聴盤をご紹介するコーナー! 







《 竹内孝幸の愛聴盤 》





M5 : Under The Jamaican Moon / Nick Decaro                           【選曲 : 竹内】

1974年にリリースされたニック・デカロの2枚目のソロ・アルバム、LP『Italian Graffiti』のA面1曲目を

レーザーターンテーブルで再生した【LVm レーザー・ヴァイナル・マスターサウンド】。

プロデューサー、トミー・リピューマと作り上げた本作の音楽志向は、

「音を重視にしたロックAdult-oriented Rock」と

「成熟した大人の世界に向けたロックAdult-oriented Rock」なる嗜好音楽の概念を具現化した

アルバムを創造した。

リア・カンケルのオリジナル曲でもある本曲は、

ボサ・ノヴァのリズムに味のあるニックのボーカルをのせてAOR新世界を見事に切り拓いていく。



 







M6 : Tea For Two / Nick Decaro                                    【選曲 : 竹内】

1974年にリリースされたニック・デカロの2枚目のソロ・アルバム、LP『Italian Graffiti』のA面1曲目を

レーザーターンテーブルで再生した【LVm レーザー・ヴァイナル・マスターサウンド】。

プロデューサー、トミー・リピューマと作り上げた本作の音楽志向は、

「音を重視にしたロックAdult-oriented Rock」と

「成熟した大人の世界に向けたロックAdult-oriented Rock」なる嗜好音楽の概念を具現化した

アルバムを創造した。1925年に誕生したジャズのスタンダード・ナンバーを、

誕生から半世紀後に二人の音楽クリエイターが洒落たロックに再生(Re-Birth)、

これからも未来の大人たちの音楽嗜好作品として生きるロックに仕上げた。













《 金澤寿和の愛聴盤 》





M7 : Rio / The Doobie Brothers                                       【選曲 : 金澤】

今回のカナザワ・セレクトは、来週待望のジャパン・ツアーを行なう

ドゥービー・ブラザーズをピックアップ。ドゥービーというと、大陸的なアメリカン・ロック・スタイルで

人気を博したトム・ジョンストン時代と、スティーリー・ダンに通じる都会派AORサウンドを追求した

マイケル・マクドナルド主導期に支持が割れるが、再結成後のドゥービーには一貫して

トム・ジョンストンが在籍。<ロング・トレイン・ランニング>や

<リッスン・トゥ・ザ・ミュージック>など、初期人気曲中心のステージを繰り広げている。

そこでココでは、敢えてマイケル・マクドナルド在籍期の作品群から、

彼が加入直後の76年作『TAKIN’ IT TO THE STREETS(ドゥービー・ストリート)』を。

とはいえセレクトは、パット・シモンズのヴォーカル曲。カメオ出演的にワン・フレーズだけ歌っている

女性シンガーは、かのマリア・マルダーだ。











M8 : Wheels Of Fortune / The Doobie Brothers                         【選曲 : 金澤】

同じく『TAKIN’ IT TO THE STREETS(ドゥービー・ストリート)』から。

これはアルバムのオープニング・トラックで、前作までの土臭いサウンドから一転、

ジャズ・フレイヴァーを湛えたブルー・アイド・スタイルに突然変異し、大きな話題となった。

その変化をもたらしたのが、スティーリー・ダンのサポート・メンバーだった

マイケル・マクドナルドとされ、当時はジョンストン派からずいぶん攻撃されていた。

でもよく考えれば、新加入の彼がいきなりバンドを牛耳れるはずはなく、

実はパット・シモンズが後ろ盾だったと理解できる。この曲もパットがメインで、

マイケルばかりが悪者にされるのはおかしいのだ。結局マイケルの実力が広く認知されたのは、

<ホワット・ア・フール・ビリーヴス>が大ヒットし、

グループに初のグラミー賞をもたらされてから、だった。