マガジン

雨の風景

青時雨(あおしぐれ)、樹雨(きさめ)、狐雨(きつねあめ)、芽花流し(つばなながし)・・・
日本の雨には古くから様々な名前がついています。
今回は、様々な土地の雨の音に耳を澄まします。

北海道の東部、雌阿寒岳の麓にひっそりと佇むオンネトー湖。
アカエゾマツの原生林に囲まれた周囲2.5kmほどの神秘的な湖です。
初夏の夜明けの時間、静かに降り注ぐ雨の中、
ヒュー、ヒューと悲し気なトラツグミの声が響いています。

原始のブナ林が世界最大級の規模で広がる白神山地。
淡い緑の葉をつけたブナの森は明るくて、
落ち葉が幾重にも積もった地面はフカフカしています。
初夏の朝、森に降る雨は柔らかい音をしています。

富士宮市にある田貫湖近くの湿地。
雨の降る夜、樹上からコロコロとモリアオガエルの声が聞こえてきました。
モリアオガエルは、森に棲む固有種で、木の枝などに産卵します。

沖縄の人々の信仰の対象として、神が降り立つ場所と言われる「御嶽」。
その多くは森で囲まれ、神聖な場所として清浄な空間が保たれています。
亜熱帯の常緑樹に包まれた御嶽に降る、静かな雨です。

季節により、場所により様々な表情を見せる雨。
雨の音に耳を澄ませば、心もしっとりしそうです。