マガジン

晩秋の遠野

河童や座敷童、天狗に狼、そして山男や山女・・・奇怪な話が数多く伝えられた岩手県・遠野。
柳田國男の「遠野物語」で知られる地です。
 
遠野の里山を歩けば、道端のいたる所で石碑群に出会います。
遠野物語の序文でも石碑の多さに触れていますが、
長い年月を経て風化し苔むした石碑は、魂が宿っているような不思議な存在感を放っています。
それぞれ山神や馬頭観音、巡礼記念碑などの特別な思いの込もったものですが、
それらはいつも傍にさりげなく並び、日常の風景の中に溶け込んでいる様子に
日本らしい信仰のかたちが現れているように感じます。
 
遠野物語の中で「石神山」として語られる石上山は、
早池峰山,六角牛山とともに遠野三山に名を連ねる山の一つ。
登山道には笹原を縫うように小さな沢が流れます。
風が吹き抜けるとザワザワと笹が揺れ、神様や妖怪の気配を感じるような気がしてきます。
麓には深い緑に囲まれた石上神社の古いお宮があり、静けさに包まれています。
 
日本の原風景と民話のふるさと、遠野。
様々な伝承や逸話が今も息づいています。