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雨降る月山

山形県の中央に位置する月山。
古くから修験者たちの信仰の山とされ、今も手付かずの自然が残されています。
そして、月山は日本有数の豪雪地帯。
雪解け水は山麓を潤して、中腹にブナやミズナラの美しい広葉樹の森を育みます。
今回は、月山に降る雨の音風景をお届けします。
 
・・・月山のブナの森に降り始めた小雨。
微かな音をたて優しく地面を打つ1粒1粒の雨が、やがて森全体を鳴らします。
ずっと同じように聞こえる雨の音も、長く耳を澄ましていると、
その音の流れの中に微妙な「ゆらぎ」が感じられます。
 
雨で葉の緑はさらに鮮やかに、太い幹は濡れて光っています。
植物にも土にもたっぷりと水が行き届いて、生き生きとした森。
ささやかな鳥のさえずりが雨音に混ざります。

雨脚が強まっていくと、耳に届くのはいよいよ雨の音だけ。
周囲が霧に包まれて白んでくると、少し先の道もぼんやりとしか見えません。
木々が永遠と続いていくような幻想的な風景に思わず立ち尽くします。
 
ひとしきり降り続いた雨は徐々に弱まって、森に陽が差し込んできました。
太陽の光を通すブナの若葉は優しい色合いで光って、明るい木漏れ日が森を満たしています。
渓流は雨で水が増え、いつもよりも躍動的です。
 
月山に降る大量の雨や雪は地中深く浸み込んで、山麓のいたる所に湧き水となって噴出しています。
水は清冽な渓流となって山をくだります。