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水温む

春、水に温かさを感じられるようになる頃を「水温む(みずぬるむ)」と言うことがあります。
春の季語として、冬の寒さが緩み川や池の水が暖かくなってきている頃の季節感を表現しています。
日本語には、季節にまつわる細やかなニュアンスの言葉が多くありますね。
 
春を迎えた奈良、古くから桜の名所として知られる「吉野山」にて耳を澄ましてみます。
小さな春を探して、ゆっくりと散歩道を歩いていきます。
 
耳を撫でるような水音と山麓に響き渡るウグイスの声は、暖かい日差しを感じる音風景。
せせらぎに舞い落ちた花びらが浮かび流れゆくのをぼんやりと眺めながら、
春の空気をいっぱいに吸い込みます。
あっという間に過ぎ去ってしまうこの心地よい季節を、立ち止まって丁寧に味わいます。
 
寒さにこごえた冬から水ぬるむ春へ。
縮こまった体がゆるんでくるのは、木も鳥も人も同じかな。